2005年9月23日に、新潟県建築士会の岩船支部・北蒲原支部のみなさん12名を招いて、下諏訪町にて地震対策について話し合う座談会を行いました。

事の始まりは昨年の新潟県中越地震後に、被災住宅の応急危険度判定や住宅相談キャラバン隊に我々長野県建築士会会員が派遣されたことによります。

特に住宅相談キャラバン隊の活動では被災地の小千谷市役所にて岩船支部のメンバーが我々を取りまとめてくださいました。
岩船地方は小千谷からは遠く、土地勘もないはずなのですが、的確に指示を出していただいた事が印象に残りました。

この活動がきっかけとなり、岩船支部に連絡を取ったところ快諾を頂き、折角なので研修旅行を兼ねてという事になり、総勢12名の方が来諏されました。

下諏訪町内の旅館で行われた座談会では、我々建築士会員以外に、長野県職員、諏訪6市町村の建築担当者が集まりました。

主に被災地に派遣されたときの苦労話や、受け入れる側の体制についての問題点などの意見が活発にやり取りされ、3時間という長時間ではありましたが、思いのほか短く感じられるような有意義な会となりました。

今後はこの教訓を生かさねばならないのですが、例えば防災訓練をする際にも「被災地に派遣された場合」と「自分の街が被災地になった場合」の二つを考えなければならないことが大切である、ということを痛切に感じました。

参加者の声

新潟県建築士会 岩船支部の皆さん、又被災された市民の方々、さらに、現地に急行された判定士・診断士の方々のご苦労にまず敬意を表したいと思います。

私は耐震診断士も応急危険度判定士の資格もなく今回の勉強会に参加させていただきました。皆さんからの報告を聞き、やはり地震の力、水の力、自然の威力に驚かされました。

その中に私たちは暮らし、生きているということを再認識しました。中越地震の発生当初、私は現地に行って何ができるの?かえって被災された方々の迷惑や不安や同情心による不信感などあおってしまうのではないだろうかと考えていました。(あくまで診断士・判定士の資格を持たない立場での考えです。)

しかし、現地で活動された皆さんの話を聞いているうちに被災された当事者はいち早く生活を取り戻すためその基盤となる家の状況・状態を知りたがっている、その手助けができるのは、その道の知識者である私たちなのだと痛感しました。

早い機会にその気持ちを持って、資格を取得したいと考える様になりました。座談会のなかで、現地に行ってもなかなか思うように動きが取れなかったという経験談が多く聞かれました。確かに、被災状態の知らない土地で、誰が責任を持って指揮が取れるかというのは、大きな問題であろうかと思います。新潟ではすでに訓練的に連絡網などを試験したとのこと長野県も南は東海地震、北は日本海地震の影響をうける震災想定県でもありますから、是非、仮想訓練をしていただきたいと思います。できるなら、全国区、他県の震災に対する想定でできないものか県や国、行政に検討して頂き、ダメでも建築士会が独自で行ってもいいかもしれません。

東海地震はもう明日にも起こっておかしくない時期になっているのですから。今回のような会を是非もっと多くの地域に広げていただきたいと思います。

行政の机上の計算で成り立つマニュアルでは実際に動く人が戸惑ってしまうのではないかと実感しました。

多くの皆さんの貴重な体験談をこれからも生かしながら、勉強していきたいともいます。ありがとうございました。