林国蔵邸は木造瓦葺2階建の住居(明治30年代)と、土蔵造瓦葺2階建の旧宅(明治20年代)などの6棟からなり、大工棟梁は大隅流14代伊藤佐久ニである。特徴的なことの一つは、旧宅の茶室と洋館が隣接していることである。茶室は純和風に仕上げ、洋館は天井の金唐紙や壁・床の寄木細工など華やかな装飾に仕上げている。特徴のもう一つは、旧宅2階の和室2部屋の天井・壁・襖・床の間の壁全てに金唐紙を貼り巡らし、荘厳な雰囲気を演出していることである。金唐紙の宝庫として、日本の近代建築史上に極めて重要な価値をもつ。